いつも食べるものだからこそおいしいものを届けたい:曽木のベーカリーKattan 保科さん
付近にはコンビニやお店などがほとんど無い田舎町。ここに2016年パン屋として営業を始めた”曽木のベーカリー Kattan(カッタン)”。
店内の天井は高く、ダウンライトが優しく包み込むような空間。おしゃれ、それでいて広々と落ち着ける場所全体に、パンのいい匂いが立ち込めています。
こだわりのパンを作り続け、そのおいしさは地元の方だけでなく、遠方からもお客さんが足を運ぶほどの評判。
一度食べたらまた食べたくなる、そんなパンを作る曽木のベーカリーKattanに取材へ行き、お話を伺ってきました。
パンが大好き!?お店の名前のルーツは・・・
──本日はよろしくお願いします。順番にお話を伺っていきたいんですが、なぜパン屋をやろうと思ったんですか?元々やりたかった?
よろしくお願いします。
そうですね、元々夫婦がパン会社に勤めて出会ったのがきっかけだったんです。ですから最初からいつかパン屋を持ちたい、と思っていましたね。
──お店は「Kattan」(カッタン)という名前ですが、名前のルーツはありますか?
お店の名前は3歳になる長女の名前が元になっています。
赤ちゃんに対して「○○ちゃん」って呼ぶじゃないですか。それが少しずつ崩れていって”かったん”になりました。なので長女の愛称そのままの名前です。
それに長女の名前もどことなくパンを連想させる漢字を当て込んでいます(笑)
いつも食べるものだからこそおいしいものを
──お店イチオシのパンとかありますか?またこだわりもあれば教えてください。
やっぱり食パンですかね。
その食パンの名前も「Kattan」。お店の名前をつけています。ですから思い入れは当然ありますし、こだわりもたくさん詰まっています。
──(手に取らせてもらうと崩れそうなほど柔らかい感触)ものすごく柔らかいですね。
そうなんです。こだわりのポイントはうちの食パンは発酵ダネを作ってから3日寝かせています。こうすると食感がしっとりして、キメの細かいパンが出来上がります。
それと「角パン」と呼ばれるもので、焼き上げるときに蓋をして焼いてます。蓋をしない焼き方もあるんですが、もちもちの食感を出すためにこちらの焼き方にしているんです。
食パンっていつも食べるものじゃないですか。ですから手間や時間がかかってもおいしいものをお届けしたいと思っています。
パン作りはご主人がメイン、おいしいものを作ろうとする姿勢
──パン屋はご夫婦でやってらっしゃるんですか?
元々夫婦だけだったんですが、今は従業員も増えています。ただ私は今0歳の子どももいますのでちょっとお休みしているような状況です(笑)
──ちなみにお休みの日とかは何をしてらっしゃいます?
うーん、子ども中心の生活になってしまうのは仕方ないんですが、主人はいつもパンのこと考えてるみたいですね。
家族から見ても主人の「パンを極めたい」っていう姿勢とか考え方、そういうエネルギーってすごいな、って見てて思います。
人口1,000人に満たない町での開店に不安も
※Kattanがお店を構える岐阜県の土岐市曽木町。土岐市は人口6万人程度の市ですが、曽木町に限定すれば人口1,000人にも満たない小さな小さな町。
──正直なところものすごく場所としては田舎です。お店を構えることに不安はありませんでしたか?
こちらにお店を出すことになったのも、本当にご縁があって、としか・・・
主人が名古屋、私が大阪だったんですが、主人のお父さんが曽木町に畑を持っていて、それが縁になってこの場所を知ったんです。
生活する上ではどうしても不便なのはわかっていました。でもそれ以上に子どもの数が少なくて教育面でどうだろう?っていう不安も大きかったですよね。
見つけた場所が国道沿いっていうのが唯一救いだったというか(笑)それでも子どものこと、お店の採算、色々なことに不安はありました。
でも主人やお義父さんが結構ノリノリだったんで、「ここでお店をやることになるんだろうな」って感じました。結局その通りになったんですけど(笑)
土地柄、自然が豊かで人間関係もものすごく密な場所だと思います。これは都会に暮らしていてはわからなかった、ものすごく良い部分かなと思っています。
元々田舎暮らしがしたいと思っていたわけではなかったんですが「住めば都」っていうことで。
豊かな自然と空気が楽しめるテラス席が気持ちいい!
※テラス席もハロウィン仕様に。山と田んぼに囲まれたロケーションで風が気持ちいい
──お店の作りもこだわって作られたんですか?
ちょうど知り合いにデザイナーさんがいたので、相談しながら進めていった感じでした。
この辺りはやっぱり自然に囲まれていますから、外の景色を眺めながらパンを食べて、コーヒーを楽しめるテラス席は人気ですね。
「このテラス、ものすごく気持ちいいね~!」って言われるとやっぱりこっちも嬉しくなっちゃいますよね。
──お客さんはやっぱり地元の方が多いんですか?
いえ、地元の方ばっかりというわけじゃないですね。時期にもよりますが、ツーリングのお客さんもけっこう多いですね。ツーリングの方の待ち合わせにうちの駐車場が使われたりもしてますよ。
それでテラス席で休憩していってくれたりもしますね。あとは車のナンバーを見るとちょっと遠方の方も足を運んでくださるお客さんもいらっしゃいます。
地元の食材、季節の野菜もパンに
──自然が豊かな土地なので、都会の喧騒から離れて・・・という方も多そうですね。
そうですね。自然と触れ合えるところって都会ではそう多くはありませんから。
自然が豊かなので食材も地元のものを使ったものがありますし、畑で採れた季節の野菜をパンに使ったりもしていますよ。
──どんなパンですか?
地元の食材で言えば「瑞浪ボーノポーク」っていう、お隣の市の豚肉です。このボーノポークを使ったパンは通年販売していますよ。
あと季節の野菜を使ったパンは、そのとき採れた野菜を使うので時期が変わるごとに変わっていきます。パンで季節も感じていただけたらいいかな、と思います。
──(取材は午後3時)今お店に並んでいるパンがほとんどないんですが、いつも売り切れてしまうんですか?
そうなんですよね。どんどん売れていってしまいますので。
一応パンが焼き上がるタイミングもあって、柔らかい定番のパンなんかは午前中に焼き上がるように調整しています。食パンも午前中に焼き上がりますね。
お昼の12時頃にはフランスパンやピザ系のものが焼き上がってきます。なのでお昼の12時頃に足を運んでいただくと、焼き立てのパンがずらっと並びますので見ててすごく楽しいですよ。
※お昼の12時頃が狙い目です!
──予約とかもしているんですか?
予約も1つからOKですよ。土日なんかだとやっぱり売り切れてしまいますからね。せっかく足を運んでもらっても商品がないと申し訳ない気持ちになります。
予約していただければ取り置きしますので、心配な場合はぜひお電話ください。
──本日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。皆様のご来店、心からお待ちしております。
もちもちのこだわり食パン”Kattan”何もつけずにそのまま
取材終わりにオススメの”Kattan”を購入。手に持つと崩れそうなほどの柔らかさ。一口頬張るとモチッとした食感にパンの甘みが全体に広がってきます。
これは何もつけずにそのまま食べた方がおいしいね。と家族絶賛。
自然の恵みと、おいしいパンを作りたいと願うご主人が作り出す食パン。この味が忘れられずまたリピートに訪れるKattanの常連さんの気持ちが一瞬で理解できた気がします。
他のパンも買ってくれば良かったなぁ・・・
曽木のベーカリー「Kattan」カッタン
〒509-5402 岐阜県土岐市曽木町1704-7
Tel 0572-52-2636/Open 9:00〜17:00
● 定休日:木曜日&第1第3金曜日
● Pあり・イートインあり。
● 国道363号線沿い、曽木公園から瑞浪方面へ車で1分。
※ホームページから引用