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「お母さんの次に好き」って言ってもらえる先生に~幼稚園教諭:田原小百合さん~

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大人になったらなりたい人気の職業として、女性の中では長年上位にランクインしつづける「保育園・幼稚園の先生」という職業。

憧れでもある小さな子どもたちの成長を間近で見ることができる職業で、やりがいや喜びも大変大きなものになるでしょう。

ここでは、保育士という母の背中を追って、自身は幼稚園の教諭としての人生を歩んでいる田原小百合さんにお話を伺うことができました。
岐阜県可児市の桜ヶ丘幼稚園の教諭として7年目を迎え、日々奮闘する田原さんの率直な想いを聞いてみましょう。

 

保育士だった母の背中を追って幼稚園教諭の道へ

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──幼稚園の先生になろう!と思ったのはいつからですか?


実は私の母は、保育士をしていたんです。
ですが、私が小学校5年生のときに、その母は亡くなってしまって......

そんなとき「お母さんの仕事ってどんなことをしていたんだろう?」ってふと気になっって、そんな思いがずっとくすぶっていたんですよね。
それで、中学生になると職場体験っていう授業があるじゃないですか。

 

──ありましたね!授業の一貫として、希望する職場の体験をするんですよね?

 

そうそう(笑)そこで自分の通っていた園に体験希望を出したんです。


元々子どもが好き、っていうのに加え、さらに母の面影を追ってと言うか。
それまでは、イメージでは「子どもと遊んでいるだけ」と思っていた職業が、ガラッと見方も変わった瞬間でした。

 

でもそこで「保育園や幼稚園の先生になりたい!」と強く思ったわけではなかったんですよね。


幼い頃からピアノを習っていたので、音楽に何かしら関われる仕事がいいなぁ、と思ってたんです。それで高校は音楽を専攻。

そして大学進学を控えて、進路を考えるときがくるじゃないですか。

で、母親の母校を調べてみたら、卒業生の親族はお金の面で優遇制度があることに気付いたんですよね。
娘である私は、その優遇を受けることができたんです。

 

で、よく考えて元々子どもは好きだったこと、ピアノにも関われる、そして母親が仕事としていた職業、さらに大学の優遇も受けられる。

 

なんだか母親に導かれるように、この道を志すことになったんです。

 

──保育士という選択肢もあったと思うんですが、なぜ幼稚園の教諭を選ばれたんですか?

 

それはご縁があったから、としか言いようがありません。

というのも大学の先生が、今の園とゆかりのある人だったんです。それで「募集があるみたいだよ」って声をかけてもらったのが始まりです。

みんなと一緒に頑張る!クラスが1つにまとまる瞬間!

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──幼稚園の先生、この仕事のやりがいってなんでしょうか?

 

子どもの成長って本当に早いじゃないですか。
1日1日クラスの子どもたちが成長していく姿を、すぐ横で見ることができるっていうのはこの仕事でしか体験できないことですよね。

毎日がものすごく貴重な体験だなぁ、って感じています。

 

子どもたちって1人1人性格が違います。
同じことを伝えるにしても、声のかけ方やそれに関するアプローチの仕方もそれぞれですからね。


本当に難しいんですけれども本人に「ちょっとだけがんばらせてあげる」っていうことの積み重ねが、最終的にものすごい成長につながっていくと信じています。

 

──行事やイベントごとでは、子ども同士で手を取り合う姿とかが見られるものでしょうか?

 

クラスって「個」の集合なんですよね。
それが遊びや体験を通して「和」になってまとまっていくのは一番成長を感じられる瞬間です。

まとまって何かをしなくちゃいけないとき、ある子どもが達成困難なことに直面することってやっぱり多いんです。けれども、みんながそれを見て見ぬふりするのではなくてサッと手を貸してあげられる。達成に向けてみんなでまとまっていく、そんな姿を見ると感動しますよね。

行事を乗り越えていくたびに、大きく成長しているのを実感します。

「やってみたい!」っていう好奇心を尊重したい


──こうした集団生活をする場だと、ケンカや揉め事があったりと苦労が絶えないと思いますが、どうですか?

 

そりゃケンカは起きてしまうことはありますよね。
けれども、さすがに怪我をさせてしまうのは問題なので、すぐに引き離します。

 

でもそこから、子どもの言い分や思っていること、それを粘り強く聞くようにしています。
だって自分の伝えたいことを上手に伝える、っていうことがまだまだ難しい年代ですから。例えばケンカした2人がいて、それぞれからちゃんと「なんでこうなったのかまず聞いてみる」んです。それからお互いが言いたいことや伝えたいことを、こちらがちょっとだけ手伝って伝えてあげるようにしていますよ。

 

──思いを上手く伝えられない、というのは小さなお子さんですからありますよね。

 

子どもがケンカをする、っていうのは自己主張の現れだと思いますから。
その裏には子どもなりに"やってみたい!"っていう好奇心だったり、「好き」「嫌い」っていう真っ直ぐな想いが込められていると思うんですよ。
そうしたちょっとしたトラブルもありますけれど、それをお互いに譲り合うだとか、自分が一歩引くとか、そういう経験も子どもを成長させてくれるものにつながっていくと思っています。

 

──子どもの好奇心を伸ばしていくことってなかなか大変では?


さっきも少し話しがあったんですが、子どもの「やってみたい!」っていう考えや好奇心を尊重してあげたいと思うんです。

あれは危ないからダメ、時間がないからダメ、と抑制してしまえばある程度こちらは楽になるかもしれませんが、それは子どもの興味を奪っていることにもつながっちゃうのかな?とも思うんです。
次から次へと湧いてくる好奇心から、「これがやりたい」「これが好き!」っていう想いを手助けしてあげることが大切なのかな?って感じています。

 

お迎え後には1日を振り返って反省も

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──お仕事の内容的になかなか大変だと耳にしたこともあるんですが、いかがでしょうか?

 

うーん、それはどこの職業でも同じじゃないでしょうか(笑)
子どもと一緒に遊んだりは当然やりますし、事務仕事もあります。
イベント前には道具や小物の用意、作成なんかもありますからね。

 

それと園では子どもをお家にお返しした後、1日を振り返ってレポートを作成します。
やっぱり1日を振り返ってみると「こうすればよかったかな」「こんなときどうすればいいのかな」と考えることもありますよ。

 

そんな風に振り返りをすることで「気付き」があることも。

子どもからは「先生」なんて言われていますが、勉強や反省、経験の毎日です。

 

「お母さんの次に小百合先生が好き!」と言われるようになりたい

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──今後も「幼稚園の先生」としてキャリアを積んでいくことと思いますが、どんな先生でありたいですか?

 

私は幼稚園の先生になったときから「お母さんの次に好き!」って子どもに言われるようになりたいな、って思ってて、今もそれは変わらないですね。

 

けれども優しいだけ、甘いだけではダメなのかな?という思いもあるんです。
幼稚園を小学校へ上がる準備として考えたとき、卒園児が学校生活で困るようなことがあればそれは教諭の責任も大きいと思うんです。
当然ご家庭での指導や教育の部分も大きいとは思います。


けれど全てご家庭のせい、というわけにはいきませんよね。自分の子どもだからこそ行き届かない部分、自分の子どもだからこそ見えない部分というものもあって、それは園で、子ども自身に気付かせてあげたり、友達とのコミニュケーションの中で学んでいくものだと思います。


それぞれの子どもの個性を引き出しながら、お互いが思いやりが持てるように人間形成を促していけるようにがんばっていきたいです。
子どもの成長もそうですが、もちろん私自身も一緒に"幼稚園の先生"として成長していかないと。

 

まとめ


普段幼稚園の中はあまり見る機会がなく、じっくり先生と話しをする時間もありません。
小さなお子さんをお持ちの親御さんも非常に気になるところではないでしょうか。

 

田原さんは自身の母親と同じ道を歩み、また同じ教育者として真摯に子どもに向き合って日々奮闘しています。
これからも先生としてがんばっていただきたいですね。

またこれから「保育園や幼稚園の先生を目指したい」という未来の先生たちへ、田原さんの想いが届くことを願っています。

 

※今回お邪魔した幼稚園はこちら

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所在地:岐阜県可児市桜ヶ丘3丁目124番地
幼稚園:学校法人大森学園 桜ヶ丘幼稚園

 

「こころとからだ、すこやかに、たくましく」


という教育目標を掲げ、


・豊かな体験
・思いやりの心を育む
・丈夫な体作り


という3つの具体目標の元、子どもたちに寄り添い、安心して登園できるよう努力をしています。

桜ヶ丘幼稚園ホームページはこちらから。