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「焼き物」にもっと注目を~陶芸作家ユニット:ミノヤキセンパイ~

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岐阜県にある山あいの地、土岐市で活動する若き陶芸家ユニットである「ミノヤキセンパイ」。

今回メンバー5人のうち3人にメンバーの工房に足を運んでいただいて陶芸に関する思いや、陶芸の道を志すことになったルーツなどを伺うことができました。

普段どのようにして作品を作り、土と向き合っているのか、様々な思いを聞いてみました。

 

全く異なる地域からそれぞれが陶芸の道を志すことに

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──ミノヤキセンパイのメンバーとして3名。(左から)アサ佳さん、中村さん、岡村さんにお越しいただきましてありがとうございます。まず皆さん地元の出身ではないようなんですがなぜこの地域に?

 

アサ佳:元々この土岐市地場産業でもある『窯業』が元気がなくなっている中、陶芸を志す若者が毎年この美濃地方に移住してきています。そんな若手作家たちを集めて、全国に美濃焼をもっと紹介、アピールできないかと土岐市が着目して若手作家を公募して発足したのがミノヤキセンパイの始まりです。

発足当初3人のメンバーが集って、後から2人が加入して今の形になっています。

 

──公募が最初だったんですね。それぞれが「陶芸家」を目指すことになった理由は?

 

中村:私は北海道出身です。北海道ってそんなに陶器が盛んなところじゃないんです。上質な土があまり取れないですから。けれども中にはそんな北海道で陶芸作家をしている人がいまして。

私が中学生の頃に地元の作家さんと出会ったのがきっかけでしたね。そこで陶芸に魅力を感じて、その作家さんの元で陶芸を習ったんです。将来的にその道に進もうと、沖縄の大学に行ってみっちり陶芸について勉強しました。

「卒業後にどうやって続けていこう?」と考えて、こういった陶器だとか窯業が盛んな土岐市に移住してきたんです。

 

アサ佳:僕は埼玉出身。元々どこかの企業やお店に勤めるというのはあまりイメージできなかったんです。だから「モノづくり」でクリエイターとして身を立てて行きたいな、って考えてはいたんです。

でもそれが”陶芸じゃなきゃいけない”っていうわけではなく、正直ガラスや金属、木工色々あるじゃないですか。何でも良かったんです。けれども「なんでもいい」じゃ進む道すら決まらないんで、どの分野に行こうか探してたのが最初でした。

それで大学生の頃、電車で移動中に、窓の外を眺めていたら”陶芸教室”の看板を見つけてふらっと立ち寄ってみたら「コレだ!」と(笑)

これだったら長いことやっていけるな、って直感ですかね。

 

岡村:僕は神奈川出身なんですけど、高校卒業してから実はパン屋をやってたんですよね。陶器とは全く関係ないところでした。

そこでちょっと体調を崩してしまったのもあって、やりたいことも探しつつ過ごしていたんです。

関東の人間ですから益子焼きの産地(茨城県)が近いんです。家族の中でも姉が益子焼の作家さんの作品を買ってきていたりする姿を見ていたり、母も料理が好きで盛り付けには当然そこには器があるわけですから。そういった影響から器そのものにはなんとなく興味は持ってたんですよね。

それで陶器について調べたり、色々な作品を見ていくとなんとなく自分が好きな作家さんが出てくるんです。その作家さんたちを調べていくとこの岐阜県美濃地方の方が多くて。それでこちらの方に陶芸を学べる学校がある、っていうことも知ってこちらで陶芸作家を目指すことになったのが最初です。

 

陶芸作家を目指して岐阜県多治見市の教育機関に

──陶芸を学べる学校っていうのは専門学校のようなところですか?

岡村:僕は多治見工業高校の専攻科っていうところで陶器を学びましたね。普通の高校なんですが、それ以外にも焼き物について専門に学びたいっていう人が入れる”専攻科”っていうところがあるんです。

 

多治見市だとそうしたところが2箇所あって、僕は多治見工業高校の専攻科を出たんですが彼(アサ佳さん)は陶磁器意匠研究所の出身です。

 

意匠研究所は「プロとして陶芸をしていきたい」というような若者が集ってくる研究所です。多治見工業高校の専攻科はどちらかと言えばもっと門戸が広くて、陶芸家を志す人もいれば、仕事を退職した方だったり、主婦層の方がいらっしゃったりと幅広い年代の方が陶芸について学ぶ場所でしたね。

多治見市陶磁器意匠研究所多治見工業高校専攻科の情報はコチラのリンクから。

同じ陶器でも作家によって目指すモノは全く違う

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──岡村さんの作品ってシンプルで、どちらかと言えば気軽に普段使いできるような作品を作られているようなイメージなんですがどうでしょうか?

 

岡村:焼き物らしいもの焼き物、と言えばいいんですかね。そういうものを作ってると思います。「奇抜なモノ」や「他に無いモノを」という発想はあまりありませんね。食器ですから、日常で使いやすいモノを、と考えて作るようにしています。

以前はデザイン的にちょっと尖ったようなデザインの作品も作っていたこともありました。けれども洗い物の時そこが欠けちゃったりしたらダメじゃないですか。なので最近ではわざと角を取って丸くするようにしたりもしますよ。

 

──逆に中村さんの作品ってなんとなく「おしゃれな雑貨屋さん」に置いてあるようなデザイン性が高くてポップな作品が多い印象ですが。

 

中村:そうですね。私は岡村さんとは逆で使い勝手とかはあまり重要視していなくて、自分のインスピレーションを大切にしていますよね。

「こんなのがあったら面白いな」「こういうのかわいいのかな」っていう感覚を大切にして作品を作るようにしています。

作っててもそうなんですが、買っていただいた方の生活にあったら面白いな、楽しいなというものを作っています。

 

──アサ佳さんの作品はメッシュが貼ってあるように見えますが、斬新なデザインがすごく印象に残ってます。で、鋳込みを使われているそうなのですが何か理由があるんですか?

 

アサ佳:もともと石膏を扱うのが好きなんですよ。「鋳込み」って石膏で原型を作って、その型を取っていくいわゆる量産の技術なんですよね。そうすると最初に作ったモノと同じものがどんどん出来上がってきます。

で、シルエットだけみたら全部一緒なんですが、型から外したときに1つ1つ全部透かし部分を彫ってるんですよ。それで構造が二重になっていますから、外を彫っていくと中のものが透けて見えるという技法です。メッシュになっているわけではないんですよね。

ちょっと説明しずらいんですが・・・

鋳込みを使うと同じものを量産していけるんですが、それだけだと大量生産の商品に埋もれてしまうじゃないですか。なので個人作家ならではの強みを生かして大量生産ではできないモノ作りを目指しています。

 

器に「これを入れなきゃ行けない」なんて決めなくていい

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──数多くの作品を作って送り出していると思うんですが、作品を通じてメッセージや思いなんかが込められていたりしますか?

 

岡村:うーん、やっぱり使い勝手は意識するようにしてますよ。クラフト市などのイベント等で出店することもあって、お客さんにお話しを伺ってみると多少なり”使い勝手”を選ぶ基準にしている方も多いですからね。メッセージかぁ・・・難しいね(笑)

 

アサ佳:あ、でも作家として器を作るじゃない。それでお客さんからよく聞かれるのが「これ何焼きなの?」と「これ何を入れる器なの?」の2つなんですよ。

逆に言えば器を見てどう使うかは自由に考えてもらえばいいと思うんですよね。例えばとっくりがあったとするじゃないですか。「とっくりだからお酒をいれなきゃいけない」なんてことは全然ないんですよ。お茶でもいいだろうし、一輪挿しにしたっていいですし。

なんとなくその器を使うのにはこれを入れなきゃいけないんじゃないか、とかこうしなきゃいけないんじゃないか、とか考える人って多いように感じています。むしろ工夫して使っている方がいらっしゃるなら「こんな風に使ってるんだよ」って教えてもらいたいくらいですね。

反対にお客さんの意見でボクらが可能性に気付くことってあるのかもしれませんから。

 

自分が作ったモノに共感してもらえるってすごいこと

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──陶芸家という職業においてやりがいや楽しさをどこに感じていますか?

 

岡村:自分がつくったものを買ってくれるって単純に嬉しいことですよ。それはこの世界に限ったことではないと思うんですけれどね。

自分が作ったものに共感してもらえて、それを購入してくれる。さらにその商品を持ち帰って使ってくれる。それってすごいことですよね。実際に対面で販売しているときだったり、間にショップを挟んで後からお客さんの声を聞いたりすることもあります。

そんな風に作品を気に入ってもらえて、声をかけてもらえることってやっぱり格別だと感じています。

 

中村:出来上がったモノに関して「面白い」「かわいい」「楽しい」っていう評価って、自分の作品に対して共感してもらえたってことですから、もちろんそれは作家にとって何よりの喜びです。

陶芸って気に入って購入してくれた人だけじゃなくて、自分自身が”作り手”として制作過程まで楽しんでるんです。大人になってもワクワクできるって素敵じゃないですか。作りたいものに関しての表現方法も本当にたくさんありますし、釉薬(陶器の表面についているガラス質の部分)の調合なんかで色や表現の方法が変わってきます。どれだけでも調合できますから、日々の研究や試作に終わりがないんですよ。そんな「自分が作りたいもの」に挑戦しているような感覚にさせてくれるところですね。

 

アサ佳:作品を気に入って買ってくれて嬉しい、ありがたい、っていうのはまず当たり前として、例えば1つの会社の中でモノを作るとしたら、企画やデザイン、制作、販売と様々な過程を経て商品になってそれが販売されていくじゃないですか。

でも陶芸作家だと全部の工程が1人で完結できちゃうんですよね。

実際に作ったモノをお客さんに見てもらったとき「もう少しこうだったらいいね」と言われたりすることもありますが、それがすぐに改良できるんです。

この改良のサイクルがものすごく早くて、会社の中では色々な手順を踏んで進めていかなければならないようなことも素早く柔軟に対応できるところ、っていうのが自分としてはすごく面白くて楽しいところだと思っています。

 

──ものすごく苦労したこととかありませんか?軌道に乗るまではどんなことも大変かな?とは思うんですが。

 

アサ佳:陶芸って好きなことで始まってますからね。今思えばあれが苦労かな?って思うこともあるけど実際どうなんだろう・・・

ほら、この前ドラクエⅪが発売されたでしょ。

 

岡村:ちょっと、その例え大丈夫(笑)?

 

アサ佳:(笑)発売前にお店の前でめっちゃ並んで、買ったら買ったで、朝まで寝ずにドラクエしてたりするじゃないですか。結構眠いのにがんばってますよね。それを周りの人が見たら「努力してドラクエしてるね!」って言わないでしょ。

だって本人が好きで楽しんでるんですから。それと同じような感覚だと思います。

陶芸家という職業の人「苦労してる」と感じる方はいないと思います。

 

中村:「陶芸が好き」っていうのはまず大前提としてありますからね。

 

岡村:「苦しい」と思ったら続けずに辞めちゃってるんじゃないですかね。決してものすごく稼げる職業ではないですから。陶芸が好きじゃなきゃそもそも続けていけないじゃないですかね。

 

アサ佳:それと苦労とは違うかもしれませんが、焼き物って釉薬をかけて焼くんで、窯に入れる前と焼きあがったときの色合いや感じがけっこう変わっちゃうんですよ。

新しい作品とか作ったときとかはやっぱりちょっと緊張します。

作っている途中で確認しながら焼くってことができないので仕方ない部分はありますけどね。

 

岡村:一旦出して何回も焼く、っていうものもありますけど基本的には窯に入れたら焼きあがるまでわかんないんですかね。

 

中村:焼き上がるまではドキドキワクワク、みたいな(笑)

 

作家個人よりも焼き物全体に注目が集まるように

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──何か陶芸家として、またミノヤキセンパイとして今後どうなっていきたい、というようなビジョンはありますか?

 

個人作家としてではなくて、もっと陶芸そのものに注目が集まるといいなと思いますよね。例えば新生活を始めることになった人がいて、食器って必要になるじゃないですか。

それで新しいものを揃えようとしたときに、今の世の中100円ショップで揃ってしまうんですよね。それはそれでいいんですよ。

 

けれどももう少し生活の質を上げたい、って思った場合、食べるものや家、車だとかを考えると、まず食べるものが安いものばかりじゃなくて健康志向になったり、家や車がちょっとグレードアップしたりするじゃないですか。

そういったものだけでなくて、使っている食器や陶器に関しても自分の好みだったり、お気に入りの作家だったりの作品を見つけて使ってもらえたらなぁ、って思います。日々使う食器というジャンルですから、余裕があれば安いものだけじゃなくて、好きなモノを揃えたいって思うのかなって考えているんです。

また「自分の生活していく中で、こんな作品が似合うような生活スタイルに自分を高めたい」って感じてもらえると嬉しいですね。

 

みんながそういう生活を意識してくれるようになるともっと陶器に関心が向いてくるかもしれないし、もっとライフワークが楽しくなってくると思うんです。そういう流れを肌で感じられるようになれば僕らももっとがんばれる・・・って言うのかな。

 

岐阜県から陶芸を発信していく若手作家たち

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今日お話をお伺いした場所はミノヤキセンパイのメンバーの1人、中村寿美さんの工房でした。実はメンバーそれぞれ工房が違うのですが、中村さんの工房はもともと窯焼きの工場だったところを現在は数人の作家でシェアをして作品づくりに励んでいるとのこと。

地場産業の衰退によって、どんどん閉鎖されていく工場があるのは事実。しかしこうしたところを利用して若手作家が陶器の魅力を外へ発信していく、こんな姿に強く魅せられてしまいました。

 

ミノヤキセンパイ:メンバーの紹介

minoyaki-senpai.jp

岡村宜治(Yoshiharu Okamura)

www.instagram.com

アサ佳(ASAKA)

  Web:ツチノネ工房 -TSUTINONE STUDIO-|HOME

中村寿美(Sumi Nakamura)
田中源(Hajime Tanaka)
竹下努(Tsutomu Takesita)

 

 

「お母さんの次に好き」って言ってもらえる先生に~幼稚園教諭:田原小百合さん~

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大人になったらなりたい人気の職業として、女性の中では長年上位にランクインしつづける「保育園・幼稚園の先生」という職業。

憧れでもある小さな子どもたちの成長を間近で見ることができる職業で、やりがいや喜びも大変大きなものになるでしょう。

ここでは、保育士という母の背中を追って、自身は幼稚園の教諭としての人生を歩んでいる田原小百合さんにお話を伺うことができました。
岐阜県可児市の桜ヶ丘幼稚園の教諭として7年目を迎え、日々奮闘する田原さんの率直な想いを聞いてみましょう。

 

保育士だった母の背中を追って幼稚園教諭の道へ

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──幼稚園の先生になろう!と思ったのはいつからですか?


実は私の母は、保育士をしていたんです。
ですが、私が小学校5年生のときに、その母は亡くなってしまって......

そんなとき「お母さんの仕事ってどんなことをしていたんだろう?」ってふと気になっって、そんな思いがずっとくすぶっていたんですよね。
それで、中学生になると職場体験っていう授業があるじゃないですか。

 

──ありましたね!授業の一貫として、希望する職場の体験をするんですよね?

 

そうそう(笑)そこで自分の通っていた園に体験希望を出したんです。


元々子どもが好き、っていうのに加え、さらに母の面影を追ってと言うか。
それまでは、イメージでは「子どもと遊んでいるだけ」と思っていた職業が、ガラッと見方も変わった瞬間でした。

 

でもそこで「保育園や幼稚園の先生になりたい!」と強く思ったわけではなかったんですよね。


幼い頃からピアノを習っていたので、音楽に何かしら関われる仕事がいいなぁ、と思ってたんです。それで高校は音楽を専攻。

そして大学進学を控えて、進路を考えるときがくるじゃないですか。

で、母親の母校を調べてみたら、卒業生の親族はお金の面で優遇制度があることに気付いたんですよね。
娘である私は、その優遇を受けることができたんです。

 

で、よく考えて元々子どもは好きだったこと、ピアノにも関われる、そして母親が仕事としていた職業、さらに大学の優遇も受けられる。

 

なんだか母親に導かれるように、この道を志すことになったんです。

 

──保育士という選択肢もあったと思うんですが、なぜ幼稚園の教諭を選ばれたんですか?

 

それはご縁があったから、としか言いようがありません。

というのも大学の先生が、今の園とゆかりのある人だったんです。それで「募集があるみたいだよ」って声をかけてもらったのが始まりです。

みんなと一緒に頑張る!クラスが1つにまとまる瞬間!

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──幼稚園の先生、この仕事のやりがいってなんでしょうか?

 

子どもの成長って本当に早いじゃないですか。
1日1日クラスの子どもたちが成長していく姿を、すぐ横で見ることができるっていうのはこの仕事でしか体験できないことですよね。

毎日がものすごく貴重な体験だなぁ、って感じています。

 

子どもたちって1人1人性格が違います。
同じことを伝えるにしても、声のかけ方やそれに関するアプローチの仕方もそれぞれですからね。


本当に難しいんですけれども本人に「ちょっとだけがんばらせてあげる」っていうことの積み重ねが、最終的にものすごい成長につながっていくと信じています。

 

──行事やイベントごとでは、子ども同士で手を取り合う姿とかが見られるものでしょうか?

 

クラスって「個」の集合なんですよね。
それが遊びや体験を通して「和」になってまとまっていくのは一番成長を感じられる瞬間です。

まとまって何かをしなくちゃいけないとき、ある子どもが達成困難なことに直面することってやっぱり多いんです。けれども、みんながそれを見て見ぬふりするのではなくてサッと手を貸してあげられる。達成に向けてみんなでまとまっていく、そんな姿を見ると感動しますよね。

行事を乗り越えていくたびに、大きく成長しているのを実感します。

「やってみたい!」っていう好奇心を尊重したい


──こうした集団生活をする場だと、ケンカや揉め事があったりと苦労が絶えないと思いますが、どうですか?

 

そりゃケンカは起きてしまうことはありますよね。
けれども、さすがに怪我をさせてしまうのは問題なので、すぐに引き離します。

 

でもそこから、子どもの言い分や思っていること、それを粘り強く聞くようにしています。
だって自分の伝えたいことを上手に伝える、っていうことがまだまだ難しい年代ですから。例えばケンカした2人がいて、それぞれからちゃんと「なんでこうなったのかまず聞いてみる」んです。それからお互いが言いたいことや伝えたいことを、こちらがちょっとだけ手伝って伝えてあげるようにしていますよ。

 

──思いを上手く伝えられない、というのは小さなお子さんですからありますよね。

 

子どもがケンカをする、っていうのは自己主張の現れだと思いますから。
その裏には子どもなりに"やってみたい!"っていう好奇心だったり、「好き」「嫌い」っていう真っ直ぐな想いが込められていると思うんですよ。
そうしたちょっとしたトラブルもありますけれど、それをお互いに譲り合うだとか、自分が一歩引くとか、そういう経験も子どもを成長させてくれるものにつながっていくと思っています。

 

──子どもの好奇心を伸ばしていくことってなかなか大変では?


さっきも少し話しがあったんですが、子どもの「やってみたい!」っていう考えや好奇心を尊重してあげたいと思うんです。

あれは危ないからダメ、時間がないからダメ、と抑制してしまえばある程度こちらは楽になるかもしれませんが、それは子どもの興味を奪っていることにもつながっちゃうのかな?とも思うんです。
次から次へと湧いてくる好奇心から、「これがやりたい」「これが好き!」っていう想いを手助けしてあげることが大切なのかな?って感じています。

 

お迎え後には1日を振り返って反省も

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──お仕事の内容的になかなか大変だと耳にしたこともあるんですが、いかがでしょうか?

 

うーん、それはどこの職業でも同じじゃないでしょうか(笑)
子どもと一緒に遊んだりは当然やりますし、事務仕事もあります。
イベント前には道具や小物の用意、作成なんかもありますからね。

 

それと園では子どもをお家にお返しした後、1日を振り返ってレポートを作成します。
やっぱり1日を振り返ってみると「こうすればよかったかな」「こんなときどうすればいいのかな」と考えることもありますよ。

 

そんな風に振り返りをすることで「気付き」があることも。

子どもからは「先生」なんて言われていますが、勉強や反省、経験の毎日です。

 

「お母さんの次に小百合先生が好き!」と言われるようになりたい

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──今後も「幼稚園の先生」としてキャリアを積んでいくことと思いますが、どんな先生でありたいですか?

 

私は幼稚園の先生になったときから「お母さんの次に好き!」って子どもに言われるようになりたいな、って思ってて、今もそれは変わらないですね。

 

けれども優しいだけ、甘いだけではダメなのかな?という思いもあるんです。
幼稚園を小学校へ上がる準備として考えたとき、卒園児が学校生活で困るようなことがあればそれは教諭の責任も大きいと思うんです。
当然ご家庭での指導や教育の部分も大きいとは思います。


けれど全てご家庭のせい、というわけにはいきませんよね。自分の子どもだからこそ行き届かない部分、自分の子どもだからこそ見えない部分というものもあって、それは園で、子ども自身に気付かせてあげたり、友達とのコミニュケーションの中で学んでいくものだと思います。


それぞれの子どもの個性を引き出しながら、お互いが思いやりが持てるように人間形成を促していけるようにがんばっていきたいです。
子どもの成長もそうですが、もちろん私自身も一緒に"幼稚園の先生"として成長していかないと。

 

まとめ


普段幼稚園の中はあまり見る機会がなく、じっくり先生と話しをする時間もありません。
小さなお子さんをお持ちの親御さんも非常に気になるところではないでしょうか。

 

田原さんは自身の母親と同じ道を歩み、また同じ教育者として真摯に子どもに向き合って日々奮闘しています。
これからも先生としてがんばっていただきたいですね。

またこれから「保育園や幼稚園の先生を目指したい」という未来の先生たちへ、田原さんの想いが届くことを願っています。

 

※今回お邪魔した幼稚園はこちら

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所在地:岐阜県可児市桜ヶ丘3丁目124番地
幼稚園:学校法人大森学園 桜ヶ丘幼稚園

 

「こころとからだ、すこやかに、たくましく」


という教育目標を掲げ、


・豊かな体験
・思いやりの心を育む
・丈夫な体作り


という3つの具体目標の元、子どもたちに寄り添い、安心して登園できるよう努力をしています。

桜ヶ丘幼稚園ホームページはこちらから。

あらゆる仕事やお金について「もっと知りたい」をつなぎたい

こんにちは、ライターのtoya_uzです。

 

”働くconnect”では、色々な職業の方へインタビューを行って、その仕事に興味がある、どんなことを思って仕事に向き合っているのか。

など、仕事や職業について「知りたい」ことをインタビューでお話しを伺う記事を作っています。

 

今後も少しずつ記事を増やしていく予定です。

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